イオンと化学電池

イオンと化学電池

乾電池は、化学電池です。

化学電池:化学エネルギーを電気エネルギーにかえる装置。

中学理科で学習する化学電池は、陰極では、電解質溶液に金属が溶け出し、電子を放出してイオンになることを利用しています。(陰極=−極、陽極=+極)

うすい塩酸(電解質)に銅板と亜鉛板を入れ、化学電池のし組みを説明します。

  1. 陰極(亜鉛):電子を放出し、亜鉛が溶ける
  2. 電子が移動
  3. 陽極(銅板):電子を受けとり、水素が発生する

1.陰極(亜鉛):電子を放出し、亜鉛が溶ける

亜鉛のほうが、銅より、イオンになりやすいので、亜鉛が亜鉛イオン(Zn2+となって、溶け出す。
同時に、電子を2個放出する。(electron :電子)

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図1:亜鉛板(陰極)

陰極での化学変化をイオン式で表すと、

【陰極】 Zn → Zn2+ + 2e
(Zn:亜鉛原子、Zn2+:亜鉛イオン、e−:電子)

2.電子が移動

亜鉛板と銅板を導線で接続すると、その中を電子が流れて銅板へ移動する。

このとき、電子が多くたまっていた亜鉛板が陰極で、流れていく先の銅板が陽極になる。

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図2:電子の流れ

  • 電子は陰極から陽極へ流れる。
  • 電流は陽極から陰極へ流れる。

3.陽極(銅板):電子を受けとり、水素が発生する

陽極(銅板)に移動した電子を水素イオン(H)が受けとり、水素原子になる。水素原子は2個結びつき、水素分子H2となり、気体(あわ)になって空気中へ出ていく。

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図3:銅板(陽極)

陽極での化学変化をイオン式で表すと、

【陽極】 2H + 2e → H2
(H:水素イオン、H2:水素分子)

【まとめ】

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図4:化学電池

<化学電池>

【陰極】 Zn → Zn2+ + 2e(電子を放出する化学変化)

【陽極】 2H + 2e → H2(電子を受け取る化学変化)

  • 電子は、陰極から陽極へ流れる
  • 電流は、陽極から陰極へ流れる

<化学電池の種類>

  • 乾電池
  • 蓄電池(バッテリー)
  • 燃料電池

マンガン乾電池やアルカリ乾電池は、陰極に 亜鉛が使われています。陽極は二酸化マンガンです。
(アルカリ電池の電解質は、水酸化ナトリウム(アルカリ性))

化学電池として利用できる金属は、異なる種類の金属です。同じ種類の金属では化学電池はできません。

ボタン電池(コイン電池)は乾電池の一種で、その形から名付けられているようです。
(ちなみに、ボタン電池の蓄電池も存在するが一般には販売されていない。)